最終更新日:2017/08/07

出力抑制(出力制御)とは

 

出力抑制とは、その名の通り
【発電(出力)】【抑え、制御(抑制)】すること。

基本的には、全ての太陽光発電が対象となっています。

 

とはいえ、太陽光パネルは、太陽光があたれば勝手に発電してしまうので、
【発電を抑える】ことは出来ません。

 

実際には、発電した電気を送電線に流すことが抑制されます。

 

つまり、せっかく晴天に恵まれ、4kw売電できる状況であっても、
出力抑制がかかると、売電できなくなってしまいます。

 

この出力抑制は、設置している家庭・企業等が行うのではなく、
管轄している電力会社が【いつ】、【どの程度】抑制するか決定し、制御します。

 

その為、【出力制御】ともいわれています。

なぜ【出力抑制(出力制御)】されるのか

出力抑制(出力制御)は元々、
【500kw以上の太陽光発電のみ】が対象となっていました。

 

しかし固定価格買取制度が開始された2012年7月以降、
太陽光発電は大幅に増加。

 

あまりに急激に増えたので、
『電気が安全に供給できなくなる!』と各電力会社が発表し、
一時、太陽光発電の受け入れや申込への回答を保留にしました。
(詳しくは⇒『電力会社【回答保留問題】とその後の変更点』を参考にして下さい)

 

この回答保留問題をきっかけに出力抑制(出力制御)の見直しが行われ、
新たな出力抑制ルールのもと、太陽光発電の受け入れが再開されました。

 

『電力の安定供給』と『更なる太陽光発電の受け入れ』の両立のため、
電力会社が太陽光発電の出力に関与できる範囲を広げる必要があったのです。

 

実際にどの程度出力抑制が行われるかどうかは、
今後の送電網や蓄電池の整備、原発再稼働等で変わってきます。

 

出力抑制(出力制御)の種類

 

現在、出力抑制(出力制御)の種類は3種類混在しています。

30日ルール
(旧ルール)

  • 回答保留問題前からあったルール。

    新規の申込には適用されない

  • 500kw以上の太陽光発電が対象
  • 上限は年間30日
  • 【日数単位】で抑制

360時間ルール
(新ルール)

  • 2015年1月26日以降の申込が対象となる可能性あり
  • 全ての太陽光発電が対象
  • 上限は年間360時間
  • 【時間単位】で抑制
指定ルール
  • 【指定電気事業者】に指定された電力会社のみ行うことが出来る
  • 全ての太陽光発電が対象
  • 上限無制限
  • 【時間単位】で抑制

出力抑制のルール(内容)が変更となり、
現在では30日ルール(旧ルール)での受付はありません。

【指定電気事業者】とは・・・?

【再生可能エネルギーの受け入れに限界が近い電気事業者(電力会社)】の事です。

 

『電力の安定供給のため、通常の出力抑制ルール(年間30日)以上に出力抑制しなければ現状以上の太陽光発電の受け入れが不可能』と経産省が判断し、指定しています。

 

現在では東京・中部・関西の各電力会社以外は指定を受けています
また、受け入れの容量は各電力会社ごとに違います。

 

出力抑制(出力制御)のルールは【契約時】に決定しますので、
一旦【360時間ルール】で契約した場合は、その後太陽光発電がどれだけ普及しても
【指定ルール】に契約が変更されることはありません。

 

現在、東京・中部・関西の各電力会社では、
『太陽光発電の受け入れにある程度余裕がある』として
50kw未満の太陽光発電は【出力抑制(出力制御)対象外】となっています。

 

その他の地域では全ての太陽光発電が【360時間ルール(新ルール)】か
【指定ルール】の対象となります。

 

各電力会社の出力抑制(出力制御)の対応は
『電力会社別 対応一覧』も参考にして下さい。

 

余剰売電(10kw未満)の太陽光発電にも影響はある?

 
ほぼ【心配なし】

出力制御(出力制御)のルール変更に伴い、一般家庭に多い10kw未満の余剰売電も出力抑制(出力制御)の対象となりました。
(東京・中部・関西電力を除く)

 

太陽光発電を導入して、少しでも売電を・・・と節電に励むのに、
『出力抑制します=買い取りません』では、
太陽光発電導入のメリットが小さくなってしまいます。

 

それどころか、【10年以内の初期費用回収】も危ぶまれるようでは、
そもそも『太陽光発電の導入はやめよう』となりかねませんよね?

 

しかし、結論からいえば、余剰売電ではほとんど影響はありません。
各電力会社が『出力抑制(出力制御)シミュレーション』を公開しています。
出力抑制の見通しは下記に詳しく記載してありますので、参考にして下さい)

 

その結果を見ると、10kw未満の余剰売電は、制御率がほとんど0%。

 

実は、【出力抑制(出力制御)は全量売電から優先的に行う】となっています。

 

つまり、『500kw以上の太陽光発電の30日ルール』、『全量売電の360時間ルール・指定ルール』をそれなりに制御して、それでも電気の安定供給が難しい場合に『余剰売電(10kw未満)の360時間ルール・指定ルール』に出力抑制が掛けられます。

 

そもそも、【まずは自己消費】が前提の余剰売電ですので、
送電網への影響もたいして大きくありません。

 

出力抑制されることは、ほぼ無いと考えて大丈夫でしょう。

 

【出力制御対応機器】が必要

注意しなければならない点は、2015年4月以降に太陽光発電を導入する際には
【出力制御対応機器が必要となる事】です。

 

出力抑制は遠隔操作で行うことを前提としています。
(電力会社が個人宅に連絡や訪問をしていては埒が明きませんからね^^;)

 

その為、パワコンやモニターが【遠隔操作に対応】していることが必須となり、
必要のない場合と比較して約1万円、初期の導入費用が高くなってしまうと
見込まれています。

 

東京・中部・関西の電力会社は【10kw未満は出力抑制必要なし】となっていますので、
対応機器も必要ありません。

 

地域によって差が出るのって、不公平だと思いませんか?

 

でも安心して下さい。
この不公平感をなくすために、売電価格も差がでています。

  • 出力制御対応機器が必要な地域・・・1kwあたり33円
  •     〃    不要な地域・・・1kwあたり31円 

当初約1万円の追加費用の要・不要で、
10年間の売電価格が1kwあたり2円も変わってきます。

 

仮に出力抑制が全く行われなければ、【1kwあたり33円】の方がメリットが大きくなる可能性もあります。

 

反対に、出力制御対応機器が不要の地域は、
今後【出力抑制される心配が『0%』】の安心感があります。

 

考え方次第ですが、【出力抑制の可能性】は、
太陽光発電の導入を控える程の影響はないと考えます。

 

各電力会社の受入状況

 
各電力会社:太陽光発電の受入状況一覧

電力会社

接続可能量

(万kw)

受入状況(万kw)

新規受入時の出力抑制ルール

北海道

117

接続済み 65

 

【指定ルール】

 

接続契約申込済 179
合計 244

東北

552

接続済み 163 【指定ルール】
接続契約申込済 401
合計 564

北陸

 

110

 

接続済み 42

【360時間ルール】

 

接続可能量超過後は
【指定ルール】

接続契約申込済 38
合計 80

東京

公表なし
(参考:
2,032)
(国が認定した再エネ発電設備量)

接続済み 740

50kw未満
 ⇒出力抑制対象外

 

50kw以上
 ⇒【360時間ルール】

接続契約申込済 786
合計 1,526

中部

公表なし
(参考:
1,146)
(年間最小需要)

 

接続済み 434

 

50kw未満
 ⇒出力抑制対象外

 

50kw以上
 ⇒【360時間ルール】

 

接続契約申込済 379
合計 813

関西

公表なし
(参考:
1,304)
(昼間最低需要)

接続済み 343

 

50kw未満
 ⇒出力抑制対象外

 

50kw以上
 ⇒【360時間ルール】

 

接続契約申込済 291
合計 634

中国

558

接続済み 202

 

【360時間ルール】

 

接続可能量超過後は
【指定ルール】

接続契約申込済 297
合計 499

九州

817

接続済み 489

 

【指定ルール】

 

接続契約申込済 838
合計 1,327

四国

 

257

 

接続済み 139

【360時間ルール】

 

接続可能量超過後は
【指定ルール】

接続契約申込済 110
合計 249

沖縄

 

35.6

 

接続済み 23.2 【指定ルール】
接続契約申込済 14.1
合計 37.3

 

上記の数字の中に、【接続の意思表示をしただけ】の太陽光発電を含まれていません。

 

あくまで【既に発電済み】、あるいは【後は発電開始を待つだけ】の
太陽光発電設備です。

 

【申込はまだだけど、事前の相談や協議は行っている】設備の多くありますので、
今後も増え続けることが予想されます。

 

出力抑制(出力制御)の見通し

 

上記の表で、最も接続可能量を超過し、
出力抑制(出力制御)が大きくなるのは九州電力です。

 

ここでは九州電力の出力抑制(出力制御)の見通しを紹介します。

 

他の電力会社では、九州電力よりも出力抑制(出力制御)が少なくなることが予想されますので、参考にして下さい。

 

【実績ベース方式】と【合成2σ(シグマ)方式】

まず、今回公表された資料では、【実績ベース方式】と【合成2σ(シグマ)方式】が採用され、試算されています。

 

【実績ベース方式】

2011年〜2013年の実際の『最小需要』や『日射量』を基準に、
出力抑制(出力制御)の割合を試算

九州電力の出力制御見通し「実績ベース」

(九州電力公表の資料より抜粋)

【指定ルール事業者の追加接続量】とは、
【接続可能量(817万kw)を超過して接続した量】となります。

 

つまり、

  • +100万kw=917万kw接続で、出力抑制の割合は2%〜5%
  • +500万kw=1417万kw     〃    14%〜25%

かなりの割合で出力抑制(出力制御)が行われる試算になっています。

 

【合成2σ(シグマ)方式】

太陽光発電設備の発電量を、【理想値に近い値】で予測。
多少“余裕を持って”試算されている

九州電力の出力制御見通し「合成2σベース」

(九州電力公表の資料より抜粋)

 

なんとコチラの方式では、
【指定ルール】の発電の半分は出力抑制されてしまう試算となりました。

 

いくら【全量売電が優先】とはいえ、
余剰売電も出力抑制される可能性が充分に考えられます。

 

でも、ちょっと待って下さい。
そもそも、【指定ルール】は、『接続可能量超過後』の措置です。

 

では、【接続可能量】は、どのように試算されたのでしょうか。

【ベースロード等電源】の数値で大きく変わる!

ここで大きな割合を占めるのが、【ベースロード等電源】です。
九州電力は、この【ベースロード等電源】を、477万kwとしています。

流れ込み式水力 27万kw
地熱 19万kw
バイオマス 5万kw
原子力 439万kw
地域間連系線の活用 ▲13万kw
合計 477万kw

 

この【477万kw】の中には、現在稼働していない原発も含まれています。

一般社団法人 太陽光発電協会では、ベースロード等電源の数値を減らした場合の
シミュレーションを公表しています。
太陽光発電協会発表の九州電力の出力制御見通し

(太陽光発電協会の公開資料より抜粋)

 

こちらでは、余剰売電では0%、指定ルールでも6.9%の
出力抑制の割合に留まっています。

 

九州電力の出力抑制の見通しは、【今ある原発を全て稼働した場合】を想定しています。

 

原発には、再稼働反対の動きや、老朽化の問題もあります。

 

実際には九州電力の見通しほどは出力抑制されないと考えます。